花粉症とは
花粉症とは、スギなどの植物の花粉が原因で起こるアレルギー疾患のことをいいます。くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー性鼻炎や目のかゆみ、流涙などのアレルギー性結膜炎が一般的ですが、人によっては皮膚のかゆみ、のどの痛みや頭痛、発熱などあらゆる症状があらわれると言われています。
耳鼻咽喉科学会会報によると、現在花粉症の有病率は国民全体の約42%にのぼるといわれているくらい身近な病気の一つとなっています。花粉症は症状が出る前から適切な治療を行うことで発症を遅らせることができたり、飛散シーズン中の鼻水などの症状を抑えてくれるようになります。
当院では、患者様が抱えている症状に合わせて、治療を行っています。些細なことでも構いませんので、鼻水や鼻づまり・目のかゆみ・くしゃみなどの症状でお困りの方、毎年花粉症に悩まされている方がいらっしゃいましたらお早めにご相談してください。
花粉の飛ぶ時期
日本ではスギ花粉やヒノキ花粉など、花粉症に悩まされている人が多く、「花粉症といえば春」と連想される方も多くいらっしゃるかと思います。しかし実際には、地域によって異なりますが1年中さまざまな植物の花粉が飛散しています。そのため、年間を通して花粉症の対策を行っていく必要があります。以下は、主な花粉が飛散する時期の目安となりますので、参考にしていただければと思います。
春 | ヒノキ(3月〜5月)、スギ(2月〜4月) |
---|---|
秋 | ブタクサ(8月〜10月)、ヨモギ(8月〜10月) |
春から秋にかけて、イネ科の花粉も飛散します。
東京を含む関東エリアでは、他の地域に比べて多くの花粉が飛ぶエリアであると言われています。
花粉症の症状
花粉症の症状は鼻かぜに似ており、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、および目のかゆみが花粉症の4大症状です。花粉症の症状は花粉が飛散する量に比例して悪化していく傾向があり、鼻症状は呼吸がしづらくなるため、集中力の低下や不眠など、勉強や仕事など普段の日常生活に悪影響を及ぼすことがあります。その他の症状としては、のどや耳、皮膚、消化器の症状、倦怠感などの全身症状もみられる場合があります。
鼻の症状
くしゃみ
花粉症によるくしゃみは、インフルエンザや風邪の際に生じるくしゃみより回数も多くなる特徴があり、花粉症の患者さんのほとんどの方が悩まされる症状です。
鼻水
花粉症の鼻水の特徴として、風邪などによって生じるやや粘性が高く黄色がかった鼻水とは異なり、粘り気がなくサラサラとした透明の鼻水がでることが特徴となります。花粉症の鼻水は止まらずに出続けるという点も特徴として挙げられます。
鼻づまり
花粉症の鼻づまりは花粉が鼻の粘膜に付着し、鼻粘膜が腫れて鼻からのどへの通り道が狭くなってしまうことで生じます。その結果、口呼吸をすることになってしまい、口の渇きや咳といった症状が出ることもあります。
目の症状
目のかゆみ
花粉症による目のかゆみは、目の症状の中で最も多くの人が悩まされている症状で、目やまぶたなどに炎症が生じてかゆみを感じるようになります。強く目をかいたり、こすったりすると結膜や角膜を傷つけてしまい、余計にかゆみが増強してしまう場合がありますので注意が必要です。
充血
花粉症による目の充血は、目の表面に花粉が付着することで結膜炎を引き起こしてしまっている状態です。白目の血管が拡張し、血管を通る血液の量が増えることで赤く充血してしまいます。
涙が出る
花粉が目に入るとアレルギー反応が生じますが、かゆみとともに涙が出ることもあります。
のど、耳の症状
鼻が完全につまることで口呼吸になるため、のどの痛みや乾燥の原因になります。また、花粉がのどの奥まで入り、かゆみを感じたり、気管に入ると咳を生じることもあります。
皮膚の症状
露出している部分にかゆみ、肌荒れなどが生じることもあります。
花粉症の原因
花粉症は、目や鼻の細胞の表面にあるIgE抗体と花粉が結合することで、「肥満細胞」と呼ばれる細胞から化学伝達物質が分泌されてしまいます。その化学伝達物質が神経や血管を刺激することでアレルギー症状が生じてしまいます。
花粉などのアレルゲンに対する許容量には個人差があり、花粉などのアレルゲンに触れるたびに体内に蓄積されていきます。そのため、これまでは花粉症が発症したことがなかったのに、今年に入ってから急に花粉症が発症してしまう可能性もありますので注意してください。くしゃみ・鼻水・目のかゆみなどの症状が続く場合は花粉症の可能性がありますので、お早めにご相談してください。
花粉症の治療
花粉症の治療は他のアレルギー系の病気の治療方法と基本的には同じですが、花粉症の治療法を大きく分けると症状を軽減する対症療法と根本的に治す根治療法の二つがあります。
対症療法
花粉症の対症療法の基本は、薬を使った薬物療法となります。発症している症状に合わせて抗アレルギー薬で治療を行っていきます。また、花粉症の症状が軽いうちから薬物療法を行っていると、花粉の飛散量が多くなった時期でも花粉症による症状のコントロールがしやすくなりますので、お早めに治療を開始されることを推奨しています。
ヒスタグロビン注射による治療
花粉症はヒスタミンという物質が血管の拡張に関わっており、炎症を引き起こすことによって花粉症の症状が生じます。ヒスタグロビンは健常なヒト血液由来の血清製剤で、ヒスタミン遊離を抑制する効果があるといわれています。花粉症だけでなく、蕁麻疹やアトピー性皮膚炎、喘息など様々なアレルギー疾患に適応があります。
使用方法 | 週1~2回の注射を、合計6回行います(これを1クールとします)。 |
---|---|
費用 | 3割負担の方で初回1400円程度、再診は1回900円程度となります。 |
ゾレア注射による治療
花粉症の原因になるIgE抗体に作用して、アレルギー反応を抑える抗体製剤です。花粉症について使用する場合、スギ花粉の時期(2〜5月)のみになります。体重と総血清IgE濃度によって投与量と費用がかわります。
使用方法 | 月1の注射です。 |
---|---|
費用 | 3割負担の方で9700〜35920円程度となります。 |
※初回導入の方は事前採血が必要です。
免疫舌下療法
アレルギーの原因であるアレルゲンを少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、症状を和らげたり、根本的な体質改善が期待できる治療です。治療期間は3〜5年が推奨されています。