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ピロリ菌

ヘリコバクター・ピロリ菌について

ヘリコバクター・ピロリ菌は、らせん状の形をした細菌で、ウレアーゼという酵素を出します。長期に渡りピロリ菌の感染が続くと、慢性的な胃炎が引き起こされ、そのまま放置していると胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんなどの発症リスクが高くなります。
厚生労働省によると、日本でのピロリ菌感染者は約3,500万人と報告されています。ピロリ菌感染の原因については、はっきりとわかっていません。
ピロリ菌は、服薬での除菌治療が可能です。胃痛、胸やけ、食欲不振、胃もたれ、腹部膨満感などの不調が続いている方はお気軽にご相談ください。

ピロリ菌の症状

ピロリ菌に感染しているだけでは、直接的な症状は特にありません。感染を放置していると慢性胃炎や萎縮性胃炎、胃潰瘍などが起こって胸焼けや胃もたれ、胃痛、食欲不振、腹部膨満感などの症状が現れます。

ピロリ菌によって起こる様々な疾患

  • 胃潰瘍
  • 十二指腸潰瘍
  • 早期胃がん
  • 機能性ディスペプシア
  • 鉄欠乏性貧血
  • 胃過形成性ポリープ
  • 胃MALTリンパ腫

など

以下に該当する方は、胃カメラ検査を受けましょう

  • 胃が張ったような感覚
  • 胃が重く感じる
  • 以前よりも満腹になりやすい
  • 食後の胃もたれ
  • 胃薬を飲んでも症状が改善されない
  • 以前に胃の萎縮を指摘された
  • 食生活が乱れ、ストレスの多い生活
  • 空腹時に体調不良になりやすい
  • 慢性胃炎や胃がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の診断を受けたことがある
  • 身内に慢性胃炎や胃がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の診断を受けた方がいる
  • 身内にピロリ菌に感染した方がいる

感染の原因

ピロリ菌の感染について、詳しくはわかっていません。高齢者が若い世代よりもピロリ菌の感染者数が多いことから、戦後の上下水道の普及がされていない時代に、ピロリ菌が混入している飲水や井戸水などを生活用水として使われていたことが要因の一つではないかと考えられています。
また、食べ物の口移しや食器の共有、キスなどによって経口感染することがあります。感染を広げないために大人から子供への感染を広げないために、コップやお箸を共有する、飲み物を回し飲みする等は控えましょう。

ピロリ菌の検査

胃カメラを用いたピロリ菌検査

迅速ウレアーゼ検査

ウレアーゼという酵素をピロリ菌が排出することを利用した検査方法です。胃粘膜を採取して特殊な反応液にいれて、色の変化からピロリ菌の有無を調べます。

組織鏡検法

胃カメラで胃の粘膜の組織を採取して、顕微鏡を使ってピロリ菌の有無を調べます。

培養検査

胃の粘膜の一部を採取して、組織を培養してピロリ菌の有無を調べます。この検査は、培養に時間がかかるので、検査結果が出るまでに3~7日程度を要します。

胃カメラを使わないピロリ菌検査

尿素呼気検査

容器に2回息を吐き入れて、呼気に含まれる二酸化炭素の量を調べます。ピロリ菌が出すウレアーゼは尿素を二酸化炭素とアンモニアに分解します。検査時の痛みなどは一切なく、30分程度で調べることができます。除菌治療後のピロリ菌検査によく利用されています。

便中ピロリ抗原検査

便中に含まれるピロリ菌抗原の量を調べる検査です。検査中の体への負担がすくなく、小さなお子さまでも受けられます。

抗ピロリ抗体検査(血液検査または尿検査)

血中や尿中に含まれるピロリ菌の抗体を調べる検査です。一般的な健康診断などでよく用いられています。薬の影響を受けないので、胃潰瘍などで服薬中の方もこの検査が受けられます。

ピロリ菌の除菌治療

ピロリ菌は、自然に死滅することはありません。感染が分かったら、除菌治療が必要となります。

1次除菌

1日2回、胃酸の分泌を抑制するプロトポンプ阻害薬(PPI)と、2種類の抗生剤(クラリスロマイシン・アモキシシリン)を1週間継続して服用します。1次除菌の成功率は、およそ70~90%です。1次除菌をしてから6~8週間経過したら、効果を調べます。除菌が十分にできていない場合は、2次除菌を行います。

2次除菌

1次除菌と同様に、薬の服用を1日2回、1週間継続して行います。抗生物質は、2種類のうち1種類は1次除菌で使用したものとは変えて内服治療を行います。2次除菌による除菌成功率は約95%です。

ピロリ菌の疑いがある方は、ご相談ください

ピロリ菌に感染したまま放置していると、胃がんの発症リスクが高くなります。今まで一度も胃カメラ検査を受けたことが無い方は、ピロリ菌に感染しているかどうか調べてみましょう。また、過去にピロリ菌に感染して除菌治療をした方も、約1~3%の確率で再感染するので、定期的に胃カメラ検査を受けていただくことをおすすめしています。
ピロリ菌感染の可能性がある方は、お気軽にご相談ください。

監修:中目黒アトラスクリニック 
院長 伴野繁雄